長谷川等伯「烏鷺図屏風」

公益財団法人現代芸術振興財団

2018

長谷川等伯「烏鷺図屏風」

2018

公益財団法人現代芸術振興財団

公益財団法人現代芸術振興財団会長でスタートトゥデイ代表取締役社長の前澤友作さんからの個人的なオファーで、国の重要文化財の長谷川等伯筆の《烏鷺図屏風》をキクマヤスナリ氏が撮影し、その画像処理を工藤が担当した。 

いわゆる図録のような写真ではなく、紙の質感・筆致・画材や箔の状態まで、等伯のリアルを再現するというコンセプトで製作は進行。

長谷川等伯がこの絵を描いたのは60代。牧谿を思わせる枯れた筆致の中に、鈍く光る箔の、老いてなお刃のような野心を感じる、彼の生きざまそのもののような画風。野心を持っての上京、時の権力者と京画壇への挑戦、政治としての茶の湯と人脈、狩野派との対立、才能豊かな息子の死、そして自身の怪我と衰弱。栄枯盛衰と諸行無常を体現した人間の生きた証、それが長谷川等伯の作品に他ならない。
 
この案件をするにあたり、多くの方に技法や画材、時代背景などの有益な示唆をいただいた。日本美術をもっと身近に感じてほしい、そしてこれが我々の国の文化であるということを誇りに感じてほしい、いまの時代を生きていきたいと思います。

P:キクマヤスナリ